ナガイ ヨシミ   NAGAI YOSHIMI
  永井 由巳
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 黄斑疾患における画像診断のコツ
会議名 大阪府眼科医会 平成25年度 学術講演会
発表者・共同発表者◎永井由巳
発表年月日 2014/02
開催地
(都市, 国名)
大阪
概要 加齢黄斑変性に対するレーザー治療
 加齢黄斑変性の中でも滲出型加齢黄斑変性(wet type age-related macular degeneration:AMD)の本態である脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)に対する治療として、以前は中心窩下を含むCNVに対してレーザー光凝固が行われていた。しかしながら、中心窩下のCNVを凝固すると中心窩網膜も凝固されて中心視野が絶対暗点になり視力も犠牲になることから、中心窩下CNVに対しては周囲を取り囲むように焼く輪状凝固や、CNVへの流入血管を焼く栄養血管凝固が行われるようになった。その後、光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)や抗血管内皮増殖因子(vascular endothelium growth factor:VEGF)療法が登場し、中心窩網膜への影響が少なく安全に治療が行えるようになったため、現在では傍中心窩CNVや中心窩外CNVがレーザー光凝固の適応となっている。
AMDにおけるCNVは中心窩網膜を含んでいることが多く、昨今ではレーザー光凝固を行うことはあまり無くなったが、AMDの特殊型であるポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)においては中心窩外のポリープ病巣のみを凝固する、或いは異常血管網も中心窩外にあれば病巣全体を凝固することで滲出を抑制させることがある。
CNVに対してレーザー光表個を行う機会は少なくなったが、症例によってはまだまだ現役の治療法であることをお話したい。
2004年に国内に導入されたPDTは薬剤と非発熱性レーザー照射を組み合わせたAMDの治療である。この治療法により中心窩下のCNVへの直接治療が可能となった。PDTは、光感受性物質であるベルテポルフィンを静脈内に投与し、投与開始15分後に波長865nmの非発熱レーザーを照射することで、ベルテポルフィンが光化学反応を起こして活性酸素を発生させ、CNVの内皮を傷害して閉塞させる治療である。この治療により、ANDの視力を維持・改善が可能となり、抗VEGF療法が登場するまで本邦でもAMDの治療の主流として急速に普及した。
 今回の講演では、CNVに対する直接レーザー光凝固と薬剤を用いたPDTとについて、実症例もお示ししつつお話させていただく予定である。