イトウ セイジ   ITOU SEIJI
  伊藤 誠二
   所属   関西医科大学  専門部
   職種   名誉教授
言語種別 日本語
発表タイトル 網脈絡膜変性疾患のin vivoモデルの確立および細胞変性機構におけるアミノ酸輸送の関与
会議名 第13回眼科分子生物研究会
発表者・共同発表者◎安藤彰, 大中誠之, 金子志帆, 中内正志, 山田眞未, 伊藤誠二
発表年月日 2009/01
開催地
(都市, 国名)
福岡
概要 脳回転状脈絡網膜萎縮症(GA)は網脈絡膜変性病巣と健常部が混在して大脳表面のGyrusの様な特徴的な眼底所見を呈する疾患で、オルニチンアミノ基転位酵素(OAT)の欠損とそれによる高オルニチン血症を伴う。オルニチンはアルギニンから産生されプロリンへと代謝されるアミノ酸であり、高オルニチンあるいは低プロリン状態が病態に関係することが示唆されているが、RPE細胞が特異的に傷害される理由は解明されていない。我々のグループはヒト培養RPE細胞にOAT阻害剤である5-フルオロメチルオルニチン(5-FMOrn)を作用させてOATを失活させるとオルニチンが細胞毒性を示すことを見出し、GAのin vitroモデルを作製することに成功した。さらにこのモデルを初代培養のウシRPE細胞に適用し、オルニチンの細胞毒性がヘテロ性を示すことを見いだした。初代培養RPE細胞はアクチンフィラメントの分布が異なる2種類の形態(敷石様細胞と紡錘状細胞)が存在し、敷石様細胞でのみオルニチンの細胞毒性が見られ、特徴的な眼底所見に関連があると推察している。またオルニチンは細胞分裂や細胞死に関与しているポリアミンに代謝されるため、ポリアミンの細胞障害への関連を疑い細胞毒性を検討したところ10mM の濃度のスペルミンでRPE細胞に障害がみられ、オルニチンによるRPE細胞障害にスペルミンが関与する可能性が示唆された。またオルニチンによるRPE細胞障害がその代謝産物であるプロリンによって抑制されることを見出したため、RPE細胞のオルニチンの細胞毒性に関して他のアミノ酸の効果を検討したところ中性および非電荷極性アミノ酸がオルニチンの細胞毒性を減少させることを見出した。OAT欠損と高オルニチン状態がもたらすRPE細胞障害にアミノ酸輸送とポリアミンが密接に関連しており、アミノ酸トランスポーターに着目して研究を展開している。