イトウ セイジ   ITOU SEIJI
  伊藤 誠二
   所属   関西医科大学  専門部
   職種   名誉教授
言語種別 日本語
発表タイトル 脳回転状脈絡網膜萎縮症の網膜色素上皮細胞におけるアルギナーゼIIの役割
会議名 第82回日本生化学会大会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎大中誠之, 芦高恵美子, 金子志帆, 安藤彰, 髙橋寛二, 伊藤誠二
発表年月日 2009/10
開催地
(都市, 国名)
神戸
概要 【目的】脳回転状脈絡網膜萎縮症(GA)は、オルニチン-δ-アミノトランスフェラーゼ(OAT)遺伝子変異が原因で高オルニチン血症をきたし、網膜色素上皮(RPE)細胞が最初に変性する疾患であるが、その変性機序は不明である。我々は、RPE細胞にOATの特異的阻害剤である5-FMOとオルニチンを添加することで細胞傷害を起こすin vitroのGAモデル系を確立した。そこで、このGAモデルにおいて変動している遺伝子をマイクロアレイ解析により同定し、その細胞傷害への関与を明らかにすることを目的とした。【方法と結果】(1)マイクロアレイ解析により、ミトコンドリアでアルギニンを基質としてオルニチンの産生を触媒するアルギナーゼ(ARG)IIの発現が増加していた。また、Real-time PCRにて、ARGIIの発現は、オルニチンの濃度と処理時間依存的に増加することを認めた。(2)オルニチンは、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)によりポリアミンに代謝される。ODCのsiRNAを用いた発現抑制細胞でも、5-FMOとオルニチンの添加により、ARGIIの発現増加が認められた。(3)ARGIIのsiRNAを用いた発現抑制により、GAモデルの細胞傷害効果はさらに増強した。(4)アルギニンは、一酸化窒素(NO)合成酵素の基質でもある。グリース法によりNOを測定した結果、GAモデルにおいてNO産生は増加し、ARGII siRNAを導入した細胞においては、NO産生がより顕著に認められた。(5)NOドナー(GSNO,SNAP)のRPE細胞への添加により、細胞傷害効果が認められた。【考察】GAモデルにおいて、オルニチンがARGIIの発現増加を引き起こし、その増加は、細胞保護効果をもたらすことが示唆された。一方、ARGIIの発現抑制に伴うアルギニンの上昇は、NOを介した細胞傷害に関与していることが示唆された。