オツジ ツヨシ   OTSUJI TSUYOSHI
  尾辻 剛
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル トーリック眼内レンズを挿入し、硝子体手術を行った1例
会議名 第34回日本眼科手術学会
学会区分 全国規模の学会
発表者・共同発表者◎盛秀嗣, 尾辻剛, 西村哲哉  
発表年月日 2011/01
開催地
(都市, 国名)
京都
概要 【緒言】近年付加価値眼内レンズを用いた白内障手術症例が増加している。しかし付加価値眼内レンズ下における硝子体手術の報告例は少ない。今回、我々はトーリック眼内レンズ下での硝子体手術の1例を経験したので報告する。
【症例】76歳男性。約1年前から右眼の歪視、視力低下を自覚し、近医眼科を受診した。右眼の老人性白内障と網膜上膜を指摘され、手術目的にて当科を紹介受診した。初診時の矯正視力は右眼(0.8×S+1.25D=C-3.50D Ax90°)で、倒乱視であった。前眼部に異常はなく、中間透光体はEmery grade2の核白内障、眼底には黄斑部に強い網膜の牽引を伴った網膜上膜を認めた。その後、白内障手術併用硝子体手術を行い、その際に乱視軽減のため耳側角膜切開及びIQトーリック眼内レンズ(Alcon社製 SN6AT5 3.00CYL)を挿入した。眼内レンズ挿入後に25Gシステムによる硝子体手術を行った。中央部及び周辺部とも硝子体ゲル切除は問題なかったが、網膜上膜剥離時にフォーカスが合いにくく、網膜上膜剥離に時間を要した。網膜上膜は完全に除去でき、術後の経過は良好で、右眼の矯正視力は(1.2×S+1.50D=C-1.75D Ax140°)であった。
【結論】黄斑部手術に際し、トーリック眼内レンズ挿入後ではフォーカスが合いにくく繊細な膜処理が問題である。白内障併用硝子体手術の際にトーリック眼内レンズを使用する場合、眼内レンズは膜処理後に挿入する方が良い。また、黄班部病変を有する白内障患者にはトーリック眼内レンズは使用しない方が望ましい。