タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 高齢者の中心性漿液性脈絡網膜症様所見を呈した原田病の1例
会議名 第63回日本臨床眼科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小池直子, 尾辻剛, 木村元貴, 西村哲哉, 髙橋寛二
発表年月日 2009/10
開催地
(都市, 国名)
福岡
概要 高齢者の中心性漿液性脈絡網膜症様所見を呈した原田病の1例
ショートタイトル:CSC様所見を呈した原田病

[目的]初診時に中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)様の所見を呈し、経過とともに原田病の典型像を示した1例を経験したので報告する。
[症例]62歳男性。右眼変視症と視力低下を主訴に近医を受診したところ右眼黄斑部に漿液性網膜剥離を認めたため当科受診となった。初診時矯正視力は右眼0.6、左眼1.2で黄斑部に2乳頭径大の漿液性網膜剥離を認めた。蛍光眼底造影(FA)にて早期に点状の過蛍光を認め、後期にかけて漏出は円形に拡大した。インドシアニングリーン蛍光眼底では早期にわずかな充盈遅延を認めたが、脈絡膜血管の拡張や斑状低蛍光はみられなかった。光干渉断層計では漿液性網膜剥離を認め、FAの漏出部に一致してフィブリン様の中等度反射を認めた。CSCと診断したが、漏出点が傍中心窩であったため経過観察となった。初診から5か月後には黄斑下フィブリン様所見は拡大し、左眼の黄斑部にも網膜剥離が出現した。初診から7か月後には網膜剥離は消退したが両眼の黄斑耳側の軽度の網膜色素上皮(RPE)の萎縮と乳頭腫脹がみられた。乳頭腫脹は次第に軽快したが、RPEの萎縮は網膜全体に拡大した。この時点で原田病を疑ったが、炎症所見がないため経過観察とした。初診から1年半後には両眼とも夕焼け状眼底となったものの、網膜剥離や乳頭腫脹はなく、矯正視力は右眼1.0、左眼1.2と良好である。
[結論]CSC様の所見で初診し、経過中に乳頭腫脹とRPEの萎縮を呈し原田病と診断された稀な症例を経験した。原田病の初期ではCSCと同様の所見を示すことがあり注意を要する。