タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 加齢黄斑変性
会議名 近眼連 夏季講習会
発表者・共同発表者◎髙橋寛二
発表年月日 2009/08
開催地
(都市, 国名)
大阪
概要 1.加齢黄斑変性の診断の進歩
①加齢黄斑変性の診断基準
昨年、一般眼科医にも使用できる加齢黄斑変性の分類と診断基準が公表された(日眼会誌112:1076-1084、2008)。新しい分類では滲出型加齢黄斑変性の特殊型としてポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜血管腫状増殖(RAP)が正式に加えられ、診断基準では滲出型加齢黄斑変性の確診例の基準となる4つの所見が規定された。
②新しい光干渉断層計による診断と病態
近年、解像度が3~5μmのスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)の普及が著しく、加齢黄斑変性においてもさまざまな新しい所見が明らかになっている。一方、滲出型加齢黄斑変性の病態には、網膜色素上皮下あるいは網膜下での毛細血管増殖(1型 / 2型脈絡膜新生血管)、網膜色素上皮直下での成熟した血管塊の形成(PCV)、網膜内での増殖活性の強い血管新生(RAPあるいは3型新生血管)と様々なものがあるが、SD-OCTによってこのような多様な病態を非常によく反映して検出することが可能になった。
2.加齢黄斑変性の治療の進歩
①予防的治療
 加齢黄斑変性の予防的治療として抗酸化サプリメントの使用が叫ばれており、欧米においては標準的治療となっている。欧米のスタディ(AREDS)から、このような予防的治療がどのような眼底病変に適応になるかを述べる。
②光線力学的方法(PDT)
 5年前から始まったPDTは日本人では欧米人に比べて治療効果が高く、それはPDTに有効性が高いPCVが日本人に多いためであることが、昨年報告されたガイドラインによって判明している(Tano Y: Ophthalmology 115:585, 2008)。薬剤併用PDTも含め、加齢黄斑変性の様々な病態に対してPDTをどのように使用していけばよいかについて述べる。
③抗血管内皮増殖因子療法(抗VEGF療法)
 抗VEGF薬として、昨年10月にマクジェン®、本年3月にルセンティス®が臨床導入され、特に後者では治験成績において1年後の視力維持率100%という成績が示され、多用されている。しかし、長期の臨床成績はまだ判明しておらず、日本人に多いPCVに対する治療効果の評価もまだ完全になされていない。先に述べた滲出型加齢黄斑変性の様々な病態に対して、新生血管の形態から、どのように考えて抗VEGF薬を使用すべきかについて述べる。