タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 小胞体ストレス負荷時の網膜色素上皮細胞におけるtight junctionの変化
会議名 厚生労働省難治性疾患克服研究事業 網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班 2009年度班会議
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎吉川匡宣, 緒方奈保子, 伊豆田洋志, 嶋澤雅光, 原英彰, 髙橋寛二
発表年月日 2010/01
開催地
(都市, 国名)
名古屋
概要 【目的】近年、小胞体ストレスが糖尿病や神経変性疾患の原因となっていることが明らかになりつつある。また小胞体ストレスによって炎症性サイトカインの発現が増強することが知られてきた。この小胞体ストレスによる炎症性サイトカインの誘導が加齢黄斑変性や糖尿病網膜症の発生、進展の一因であると報告されている。網膜色素上皮細胞の機能は加齢黄斑変性や糖尿病網膜症の病態に大きく関与する。そこで我々は、小胞体ストレスを負荷した時の網膜色素上皮細胞におけるtight junctionの変化を検討した。

【方法】ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE19)を培養し、小胞体ストレスを惹起するTunicamycin(TM)を1μg/ml、Thapsigargin(TG)を1μMでそれぞれ添加した。添加6、12、24、48時間後に細胞を回収してRNAを抽出し、小胞体ストレス発現の指標としてGRP78/Bip(小胞体固有シャペロン)およびC/EBP-homologous protein(CHOP)、tight junctionとして zonula occludens(ZO)-1、occludin、claudin 1、さらに血管内皮増殖因子(VEGF)および色素上皮由来因子(PEDF)の発現をreal time PCR法にて検討した。

【結果】TM, TG 負荷でGRP78/BipおよびCHOPの発現が増加しており、とくにCHOPの発現が40倍以上増加していた。ZO-1、occludin、claudin1の発現はTM,TG負荷で増加した。さらにVEGFの発現もTM,TG負荷で増加した。またVEGF とoccludinは時間経過とともに発現が増加していた。しかしVEGFとPEDFの発現にあきらかな相関はなかった。

【結論】小胞体ストレスによって、培養網膜色素上皮細胞のtight junctionに転写レベルで変化が生じていた。小胞体ストレスによって網膜色素上皮細胞の機能が変化し、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症の病態に関与することが考えられた。