タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 病理からみた滲出型加齢黄斑変性の病態
会議名 第27回日本眼循環学会
学会区分 全国規模の学会
発表者・共同発表者◎髙橋寛二
発表年月日 2010/07
開催地
(都市, 国名)
神戸
概要 近年、加齢黄斑変性の病態研究が非常に盛んになり、多方面からの分子レベルでの病態解析が行われるようになった。なかでも滲出型加齢黄斑変性にみられる脈絡膜新生血管の発生機序に関する解明は非常な勢いで進行してきている。
一方、加齢黄斑変性の臨床において、光干渉断層計を中心とする形態診断が進歩し、さまざまな新しい治療法が生まれる中で、我々臨床医は目の前に現れる加齢黄斑変性の症例をどのように考えてどのように最適な治療に結びつけるかという危急の課題に日々直面していることも確かである。
演者は20年以上前にもなる大学院生時代から脈絡膜新生血管の実験病理学的研究を始め、当初はサル、ラットなどの動物モデルにおいて網膜色素上皮と脈絡膜新生血管の関係について解明を試みるとともに、人の疾患に近い動物モデルの作成に務め、その過程で様々な時相や病的状態における脈絡膜新生血管の血管病態を観察し、また治療実験をも行ってきた。その後、1990年台前半から一時期盛んになった新生血管抜去術によって得られた人眼の脈絡膜新生血管の摘出標本を病理組織学的に多数観察するとともに、少数ではあるが加齢黄斑変性症例の摘出眼球の病理組織所見をも観察する機会を得た。この間一貫して、臨床的にはつねに加齢黄斑変性の眼底所見と画像診断(フルオレセイン蛍光眼底造影、インドシアニングリーン蛍光眼底造影、光干渉断層計)所見をできるだけ詳細に読影し、背景に潜む病態を臨床-病理相関の考えの中から理解するように務めてきた。
本講演では、滲出型加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管における臨床-病理相関からみた病態について、演者が今日まで理解してきた以下のような事項を総括し、加齢黄斑変性の日々の診療に直結するお話ができれば幸いであると考えている。
1.実験病理と臨床病理との相関
2.狭義滲出型加齢黄斑変性におけるGass分類1型脈絡膜新生血管と2型脈絡膜新生血管
の血管病態
3.ポリープ状脈絡膜血管症における血管病態とその考え方 
4.狭義滲出型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症の摘出眼球標本での脈絡膜の病態
5.脈絡膜新生血管の病態からみた最適な治療法の考察