タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 脈絡膜新生血管を伴った網膜上膜に対する硝子体手術終了時に抗VEGF薬を投与した2例
会議名 第65回日本臨床眼科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小池直子, 尾辻剛, 正健一郎, 津村晶子, 津田メイ, 西村哲哉, 高橋寛二
発表年月日 2011/10
開催地
(都市, 国名)
東京
概要 <目的>
網膜上膜(ERM)に脈絡膜新生血管(CNV)を合併した症例で、黄斑部の牽引がみられたために硝子体手術を施行した2例を経験したので報告する。
<症例>
症例1は78歳女性。左眼に強度近視に伴うCNVと網膜分離症を認めERMによる牽引がみられた。ERMおよび内境界膜(ILM)剥離を伴う硝子体手術終了時にbevacizumabの硝子体内投与を行った。術後2か月で網膜分離症と網膜剥離は消失しCNVは線維化した。
症例2は86歳男性。右眼中心窩下に加齢黄斑変性に伴うCNVとその周囲に黄斑浮腫を認め、ERMが黄斑部を牽引していた。ERMおよびILM剥離を伴う硝子体手術終了時にbevacizumabの硝子体内投与を行った。術後1か月でCNVは縮小し黄斑浮腫も著明に減少した。
<考察>
2症例とも黄斑浮腫や網膜剥離の原因としてCNVからの滲出に加えてERMの牽引によるものが考えられた。牽引を解除する目的で硝子体手術を施行し、手術侵襲によるCNVの活動性の増強を抑える目的で、手術終了時に抗VEGF薬投与を行った。無硝子体眼では投与した抗VEGF薬の硝子体内での滞留時間が短く効果が弱いとされているが、術直後であるので抗VEGF薬の網膜下への浸透がよく、CNVの抑制効果がみられたと考えられた。
<結論>
硝子体手術の適応がある網膜硝子体疾患に活動性のあるCNVを伴っている症例において硝子体手術を施行する場合には、手術終了時に抗VEGF薬を硝子体内投与すればCNVの活動性が抑えられる可能性がある。