タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 脈絡膜新生血管に伴う硝子体出血に対する硝子体手術の検討
会議名 厚生労働省 難治性疾患克服研究事業 網脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班 平成22年度班会議
発表者・共同発表者◎尾辻剛, 正健一郎, 津村晶子, 津田メイ, 西村哲哉, 髙橋寛二
発表年月日 2011/01
開催地
(都市, 国名)
名古屋
概要 【目的】滲出性加齢黄斑変性(AMD)などの脈絡膜新生血管性疾患に伴って硝子体出血を来すことがある。これらの硝子体出血に対して硝子体手術を行った症例について後ろ向きに検討した。
【対象と方法】対象は平成16年4月から平成22年3月までに関西医科大学附属滝井病院でAMDまたはその類縁疾患との診断で通院中に硝子体出血を来し、硝子体手術に至った症例のうち6か月以上経過観察できた26例27眼である。糖尿病網膜症や網膜血管閉塞などの網膜疾患の既往のある症例は除外した。平均年齢は70.3歳で、男性18眼、女性9眼であった。病型は狭義AMDが14眼、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)が12眼、特発性脈絡膜新生血管が1眼であった。硝子体出血前の所見の特徴と術後経過について検討した。
【結果】硝子体出血前の受診では22眼で網膜下出血の拡大がみられ、15眼で3乳頭径大を超える出血性網膜色素上皮剥離がみられた。術前の小数換算平均視力は0.01以下で、術後6か月では0.04であった。術後出血は徐々に吸収し、6か月では2眼を除いて滲出は停止した。追加治療として2眼で光線力学的療法を施行し、3眼で抗VEGF療法を施行した。後部硝子体剥離の有無では術後視力に有意差はみられなかった。狭義AMDとPCVの間でも術後視力に有意差はなかった。また意図的裂孔を作成し網膜下血腫除去を行った3眼すべてと、医原性裂孔のためタンポナーデを行った2眼のうち1眼では、術後網膜剥離を来し複数回の再手術を行った。
【結論】AMDの硝子体出血に対する硝子体手術は後部硝子体剥離の有無や病型で術後経過に差があるとの報告があるが、我々の検討では差はなかった。既報と同様に硝子体手術後にはほとんどの症例で滲出は停止した。術中に網膜裂孔が生じた症例の術後経過は不良であり、意図的裂孔を作成してまで血腫除去を行うべきではない。