タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 長期経過観察中に増殖性硝子体網膜症を生じた視神経乳頭黒色細胞腫 の1例
会議名 第67回日本臨床眼科学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表者・共同発表者◎大津弥生, 松岡雅人, 西村哲哉, 髙橋寛二
発表年月日 2013/10
開催地
(都市, 国名)
横浜
概要 【緒言】視神経乳頭黒色細胞腫は良性腫瘍だが、経過観察中に腫瘍の悪性化や網膜中心静脈閉塞症を誘発した報告が散見される。今回我々は、長期経過観察中に網膜静脈分枝閉塞症、繰り返す硝子体出血後に増殖性硝子体網膜症となった視神経乳頭黒色細胞腫の1例を経験したので報告する。
【症例】49歳女性。昭和61年に左眼飛蚊症を主訴に関西医科大学附属滝井病院を受診。左眼視神経乳頭上に1.5乳頭径大の黒色腫瘤を認めた。視神経乳頭黒色細胞腫と診断し経過観察を行った。腫瘤は徐々に増大し、平成元年に網膜静脈分枝閉塞症を発症したため、網膜光凝固を施行した。その後網膜新生血管を認め、硝子体出血を繰り返した。手術加療を勧めるも拒否されたため、経過観察を続けた。視神経乳頭上には強固な硝子体癒着と増殖膜を認め、水晶体後面、硝子体、網膜上に色素散布が増加していった。平成25年2月に左眼視力低下の進行を生じ、増殖性硝子体網膜症を認めたため、白内障手術併用硝子体手術を行った。術中に網膜裂孔は認めなかった。また硝子体を採取し細胞診を行ったが、悪性細胞は認めなかった。術後シリコンオイル下で網膜は復位している。
【結論】視神経乳頭黒色細胞腫のため後部硝子体剥離が不完全な状態に加え、繰り返す硝子体出血が関与して増殖性硝子体網膜症を生じたと考えられた。視神経乳頭黒色細胞腫は良性であるが他疾患を誘発することがあり、注意深い経過観察が必要である。