タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 慢性網膜壊死の病像を示したサイトメガロウィルス網膜炎の2症例
会議名 第68回日本臨床眼科学会
発表者・共同発表者◎傳田悠布子, 嶋千絵子, 藤原敦子, 永井由巳, 山田晴彦, 髙橋寛二
発表年月日 2014/11
開催地
(都市, 国名)
神戸
概要 慢性網膜壊死は、2013年Schneiderらが、汎網膜血管閉塞を伴って慢性的に進行するサイトメガロウイルス(CMV)による壊死性網膜炎に対して命名した疾患概念である。この病像に一致する2例を経験したので報告する。
症例1:77歳男性、3週前からの右眼霧視で平成25年5月初診。初診時矯正視力は右0.5、左0.9、眼圧は右34mmHg、左15mmHgで、右眼にRAPD陽性、軽度虹彩炎、網膜動脈の白線化、眼底耳上側周辺部に白色顆粒状病変を局所的に認めた。フルオレセイン蛍光眼底造影で右眼は眼底周辺部全周に網膜動静脈の閉塞を認めた。急性網膜壊死(ARN)を疑ったが、経過が緩徐なため前房水のマルチプレックスPCRを行ったところCMV陽性であった。バルガンシクロビル内服を3か月間行い、眼圧は低下、眼底の顆粒状病変は消失した。症例2:70歳男性、1か月前からの両眼の視野欠損で平成25年7月初診。悪性リンパ腫の抗癌剤治療中でCMV抗原血症に対しガンシクロビルを全身投与されていた。初診時矯正視力は両眼0.7、眼圧は両眼7mmHg。Goldmann視野で両眼に不規則な視野欠損を認めた。両眼眼底に網膜動脈の白線化、眼底周辺部に顆粒状病変がみられ、光干渉断層計では黄斑外の網膜は高度に菲薄化していた。
考察と結論:CMV網膜炎は免疫不全に伴い亜急性の経過をたどる後極部血管炎型が多いが、免疫状態に関わらず眼底周辺部に顆粒状病変を伴って慢性的に汎網膜血管閉塞が進行する慢性網膜壊死の病像を示す場合があり注意を要する。