ナガヌマ マコト   NAGANUMA MAKOTO
  長沼 誠
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル カプセル内視鏡検査で診断した小腸外病変の検討
会議名 第103回日本消化器内視鏡学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎深田憲将, 鈴木亮, 長沼誠
発表年月日 2022/05/14
開催地
(都市, 国名)
京都
学会抄録 ウェブ
概要 【背景】
原因不明消化管出血(OGIB)に対してカプセル内視鏡検査(CE)は出血源を同定
することができるため当院では積極的に行っている。消化管出血で内視鏡検査を
行っても出血源を同定することができず、CEを行わなければならない症例は一定
数存在する。以前より当院では小腸外出血の割合が高い傾向にあった。カプセル
内視鏡検査で判明した小腸外出血の特徴について検討した。
【方法】
2009年1月から2020年12月までに原因不明消化管出血(OGIB)に対して施行された
カプセル内視鏡検査729件(男性361例、女性257例)を対象とした。カプセル内視
鏡検査後の追加検査、追加処置により出血源の確定を行った。
【結果】
OGIBに対して検査を行った729件の内訳はOngoing OGIB:149件(20%)、
Previous OGIB:358件(49%)、Occult OGIB:222件(30%)であった。出血源
が判明したものは348件(47.7%)で、内訳は食道・胃50件(15%)、十二指腸球
部から下行部25件(7%)、十二指腸水平部から上行部6件(2%)、小腸204件
(59%)、大腸56件(16%)、胆道4件(1%)、その他3件(鼻出血2件、痔核1件)
(1%)であった。代表的な疾患は上部消化管ではGAVE18件、胃・十二指腸潰瘍
12件、大腸では憩室出血疑い21件、Angioectasia15件、憩室出血6件、であった。
【考察】
消化管出血は出血をしている場合の診断は容易であるが、止血状態にあると診断
に苦慮する。上部内視鏡検査時に止血状態にある場合にCEを行うことでGAVEから
の出血を確認できた症例が多かった。また、下部内視鏡検査時には回腸末端に鮮
血を認める場合にOGIBと診断し、カプセル内視鏡検査を行った症例を多く認めた。
これらのうち多く認めた大腸Angioectasiaは数mmの大きさの病変ではなく、1~
3本程度の腺管から出血を確認した症例を多く認めた。これらの病変は止血状態で
は出血源として同定することは困難な病変であった。
【結語】
カプセル内視鏡検査は小腸出血のみならず、上部消化管、下部消化管出血の診断
にも寄与することができる。