イトウ タカシ   ITOU TAKASHI
  伊藤 嵩志
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル HCCに対する局所治療効果向上に向けた効果判定方法の工夫
会議名 第50回日本肝臓学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎井口亮輔, 関 寿人, 川村梨那子, 中丸 洸, 伊藤嵩志, 南川 健, 山田康尊, 村田美樹, 中橋佳嗣, 松崎恒一, 岡崎和一
発表年月日 2014/05
開催地
(都市, 国名)
東京
概要 はじめに】肝細胞癌(HCC)に対する局所治療後の局所再発は無視できない問題であり、その局所再発を防ぐ方法としては、厳密な治療の効果判定が重要とされている。そのため近年、治療前後の画像を用いた3D Fusion像が治療効果判定に用いられつつある。そこで、当院における局所再発症例について再度治療効果判定を行い、旧来の評価法を検証するとともに、一部の症例については3D Fusion画像を用いた効果判定法の有用性について検討した。
【対象・方法】2002年から2011年までに初発病変で3cm、3個以下の症例に対して、PRFAまたPMCTにて治療した172症例、187結節を対象とした。平均腫瘍径は18.6±5.6cm、TACEを併用例は124例あった。
治療はすべて超音波誘導下に経皮的に治療。画像を再評価した症例においては、再発時の画像を参考にし、同部位のマージンが不十分でなかったか改めて治療後画像を用い評価した。また旧来の判定法では評価困難と思われた10症例11結節に関しては治療前後のDy-CT画像を用いて3D画像を構築し、Fusionさせることで治療効果判定を行った(3D群)。
【結果】局所再発は19例、全体の11%であった。そのうち再度画像評価が可能であった17症例について評価した。17例中10例は再評価後も治療効果判定に変わりはなかった(TE4a:7例、TE4b:1例、TE3:2例)。しかし7例に関しては再評価後に治療効果判定が悪化した(TE4a→TE4b:5例、TE4b→TE3:2例)。悪化した7例中3例はリピオドール集積を認めず、1例は乏血性腫瘍であった。また3D群ではTE4aと判定した症例からは、1例も局所再発を認めていない。
【考察】従来の効果判定方法では、治療前後の画像を見比べることで判定していたが、実際に画像を重ねているわけではないため、正確な判定は難しい。今回の検討でもリピオドールが集積していない症例や乏血性腫瘍においては画像評価が難しく、今回の再評価において効果判定が悪化する傾向があった。3D群においてはリピオドールの集積などは関係なく、3D Fusion画像をすべての症例で作成が可能であり、そのFusion画像を用いることで効果判定が正確で容易となり、局所再発を抑えることにつながったと考えられる。
【結語】HCCに対する局所治療の局所制御の成績を向上させるためには、正確な治療効果判定が必要であり、旧来の方法で判定が困難な症例には3D Fusion画像が有効であると思われる。