オオナカ マサユキ   OHNAKA MASAYUKI
  大中 誠之
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 脳回転状脈絡網膜萎縮症の網膜色素上皮細胞におけるアルギナーゼIIの役割
会議名 厚生労働省難治性疾患克服研究事業 網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班 2009年度班会議
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎大中誠之, 芦高恵美子, 金子志帆, 安藤彰, 伊藤誠二, 髙橋寛二
発表年月日 2010/01
開催地
(都市, 国名)
名古屋
概要 【目的】脳回転状脈絡網膜萎縮症(gyrate atrophy:GA)は、網脈絡膜変性による進行性の視野欠損を特徴とする遺伝性疾患で、ミトコンドリア内のオルニチンアミノ基転移酵素(OAT)遺伝子変異が原因で高オルニチン血症をきたす。OAT遺伝子欠損マウスでは、網膜色素上皮(RPE)細胞が最初に傷害されることが報告されており、その病態に高オルニチンあるいは低プロリン状態が関係することが示唆されているが、傷害機序は不明である。これまでに我々は、ヒト培養RPE細胞にOATの特異的阻害剤である5-フルオロメチルオルニチン(5-FMO)とオルニチンを添加することで細胞傷害を起こすin vitroのGAモデルを確立した。GAモデルにおけるマイクロアレイ解析から、ミトコンドリアでアルギニンを基質としてオルニチンの産生を触媒するアルギナーゼ(ARG)IIの発現上昇が認められたことから、細胞傷害へのARGIIの関与を明らかにすることを目的とし解析を行った。
【方法と結果】(1)Real-time PCRにて、作用させたオルニチンの濃度および時間依存的にARGIIの発現上昇がみられた。(2)siRNAを用いてARGIIの発現を抑制したところ、GAモデルでの細胞傷害がさらに増強した。(3)アルギニンは一酸化窒素(NO)合成酵素の基質である。グリース法でNOを測定した結果、GAモデルにおいてNO産生は上昇しており、ARGIIの発現抑制によりNO産生はより顕著となった。(4)NOドナーの添加により、細胞傷害が認められた。
【結論】GAモデルにおいて、オルニチンによるARGIIの発現上昇と、それに伴う細胞保護効果が認められた。さらに、ARGIIの発現抑制により生じるNO産生が細胞傷害を引き起こすことが示唆された。