タニガワ ノボル   TANIGAWA NOBORU
  谷川 昇
   所属   関西医科大学  放射線科学講座
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 転移性肝癌に対する血流遮断下経皮的局所治療の有用性の検討
会議名 第30回Microwave Surgery研究会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎井口亮輔, 関 寿人, 池田耕造, 川村梨那子, 岡崎和一, 米虫 敦, 谷川 昇, 北出浩章, 權 雅憲
発表年月日 2011/10
開催地
(都市, 国名)
盛岡
概要 緒言】転移性肝癌に対する内科的治療として経皮的局所治療が施行されるが、その有用性の検討に関する報告は少ない。今回我々は、転移性肝癌に対する血流遮断下経皮的局所治療(PMCT、PRFA)の局所制御能について検討した。
【対象・方法】1994年〜2009年の間に転移性肝癌(腫瘍径3cm以下)と診断され、種々の理由で肝切除を施行せず、外科より依頼を受けた36例を対象とした。原発巣内訳は、大腸27例、乳腺、腎、胃各2例、膵、肺、子宮各1例。同時性転移は6例、異時性転移は30例であった。治療はTACE後1週間以内に施行した。治療別内訳はPMCT22例(25結節)、PRFA14例(17結節)で、そのうち血流遮断下局所治療(PRFA and/or PMCT)10例(13結節)。治療後の造影CTで腫瘍部を超えて不染低濃度域が腫瘍部を覆った所見をもって治療終了とした。治療後6ヶ月後の治療部局所再発率で有用性の評価をおこなった。
【結果】経皮的局所治療の局所再発率は腫瘍径2cm以下、PMCT(14結節)0%、PRFA(5結節)0%、腫瘍径2cm以上3cm以下でPMCT(11結節)27.3%、PRFA(12結節)8.3%であった。血流遮断下治療の局所再発率は腫瘍径2cm以下(2結節)、腫瘍径2cm以上3cm以下(11結節)共に0%だった。また大腸癌転移症例における累積生存率では血流遮断下で局所治療を行った症例の方が血流遮断しない症例よりも良好であった。
【考察】腫瘍径2cm以上結節に対して経皮的局所治療のみでは局所制御が困難となる場合がある一方、血流遮断下局所治療が施行された症例では局所制御が良好であった。また肝内他部位再発の頻度を考慮すると、全身化学療法等の併用治療が必要と思われた。
【結語】転移性肝癌に対する経皮的局所治療では、腫瘍径が2cmを超えると局所制御が不十分になることがあり、血流遮断下治療等のより確実な局所制御が期待される治療を選択すべきであると思われる