タカハシ カンジ
TAKAHASHI KANJI 髙橋 寛二 所属 関西医科大学 眼科学講座 職種 非常勤講師 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 網膜下出血を伴って新たな線条が出現した網膜色素線条の一例 |
会議名 | 第30回日本眼循環学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表者・共同発表者 | ◎小池直子, 尾辻剛, 正健一郎, 津村晶子, 津田メイ, 西村哲哉, 髙橋寛二 |
発表年月日 | 2013/07 |
開催地 (都市, 国名) |
東京 |
概要 | 背景と目的:網膜色素線条(AS)は、ブルッフ膜の構成成分である弾性線維の変性により、亀裂による線条が生じ、しばしば脈絡膜新生血管(CNV)を伴うことが知られている。またASはブルッフ膜が脆弱であるため軽微な外傷により容易にブルッフ膜の断裂による網膜下出血をきたすことがあると報告されている。今回我々はASの経過観察中に外傷などの誘因なく両眼性に新たな線条形成と網膜下出血をきたした症例を経験したので報告する。
症例:59歳男性。約2か月前からの変視を主訴に平成19年4月9日当科初診。矯正視力は右眼1.2、左眼0.8で両眼にASを認めた。左眼に網膜下出血を伴うCNVを認めたため、光線力学的療法を2回施行し瘢痕化した。その後右眼に漿液性網膜剥離を伴うCNVが出現し、ベバシズマブ硝子体内投与を2回、ラニビズマブ硝子体内投与を3回施行し、滲出は停止したため、経過観察を行った。初診から6年後の平成25年4月15日の定期受診時、矯正視力は右眼1.5、左眼0.7で自覚症状に変化はなかったが、両眼に新たな色素線条の出現とその走行に一致した網膜下出血を認めた。新たな色素線条はCNVに連なるか、視神経乳頭から放射状に数か所認められた。 考察と結論: ASではブルッフ膜の変性により脈絡膜毛細血管板が脆弱化しているという報告がある。本症例では何らかの原因により後極部が急激に伸展され、ブルッフ膜に亀裂が入り、その下の脆弱化した脈絡膜毛細血管から出血したものと考えられた。 |