タカハシ カンジ   TAKAHASHI KANJI
  髙橋 寛二
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 血腫移動術後急速に滲出性網膜剥離が悪化し硝子体手術を要した加齢黄斑変性の一例
会議名 第67回日本臨床眼科学会
学会区分 全国規模の学会
発表者・共同発表者◎小池直子, 尾辻剛, 正健一郎, 津村晶子, 津田メイ, 西村哲哉, 髙橋寛二
発表年月日 2013/10
開催地
(都市, 国名)
横浜
概要 【緒言】黄斑下出血に対する硝子体内ガス注入による血腫移動術は出血による黄斑部視細胞の恒久的障害を回避するために用いられる治療法であるが、その合併症についての報告は少ない。今回我々は血腫移動術後に急激に網膜剥離が悪化し硝子体手術に至った加齢黄斑変性の一例を経験したので報告する。
【症例】56歳男性。矯正視力は0.3。右眼のポリープ状脈絡膜血管症(PCV)にてラニビズマブ硝子体内投与を3回施行し、一旦視力は1.2まで回復し経過観察していたが、導入期終了7か月後、中心窩下方に約2乳頭径大の出血性網膜色素上皮剥離とその周囲に中心窩を含んで4〜5乳頭径大の網膜下出血が出現した。出血から8日後、100%SF6ガス0.6ml注入による血腫移動術を施行したところ、術後4日目に視神経乳頭の耳下側に約1乳頭径大の漿液性網膜剥離が出現した。その後漿液性網膜剥離は全象限に拡大し、視力は眼前手動弁に低下したため、硝子体手術+SF6ガスタンポナーデを施行した。その際網膜剥離の初発部位に眼内光凝固を行った。術後黄斑下血腫は消退、網膜は復位し視力は0.05に改善した。
【考察と結論】本症例でガス注入後に網膜剥離が出現した原因として、ガスによる圧迫のためPCVを構成する異常血管からの滲出が急激に増強した可能性や、小さな網膜色素上皮裂孔が生じた可能性が考えられた。ガス注入による血腫移動術の合併症の一つとして滲出性網膜剥離の急激な出現がありうることに注意を要する。