タカハシ カンジ
TAKAHASHI KANJI 髙橋 寛二 所属 関西医科大学 眼科学講座 職種 非常勤講師 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 全身性ノカルジアの患者に網膜下膿瘍を生じた症例 |
会議名 | フォーサム2014東京 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表者・共同発表者 | ◎平本裕盛, 三間由美子, 西村哲哉, 髙橋寛二 |
発表年月日 | 2014/07 |
開催地 (都市, 国名) |
東京 |
概要 | 緒言
ノカルジアは好気性放線菌で,主に免疫抑制状態の患者に肺炎や脳膿瘍等を起こす.ステロイド内服中の患者にノカルジアによると思われる網膜下膿瘍を生じた症例を経験したので報告する. 症例 症例は73歳女性.平成25年11月に左膝関節の腫脹があり,関西医科大学附属滝井病院(以下当院)整形外科を受診.化膿性関節炎の診断にて入院精査したところ関節液,血液培養,皮膚の結節からノカルジアが検出され播種性ノカルジア症と診断された.眼病変の有無につき当院内科よりコンサルトを受け同年12月11日眼科を受診された.既往にANCA関連血管炎がありステロイド内服治療中であり,慢性腎不全があり透析中であった.初診時矯正視力は右眼0.8,左眼0.7.いつからかは不明であったが左眼の視力低下の自覚があった.両眼とも前眼部に炎症所見はなく,中間透光体に軽度白内障を認めた.硝子体混濁は認めなかった.眼底は右眼耳下側のアーケード血管近傍と左眼黄斑部鼻下側に黄白色の網膜下膿瘍と思われる滲出斑を認めた.両眼中間周辺部に脈絡膜皺壁を認めた.ノカルジアによる網膜下膿瘍と診断した.内科で抗生剤治療(カルバペネム系とアミノグリコシド系)がされており,眼科的には追加治療せずに経過を観察した.3か月の経過観察で滲出斑は両眼ともに縮小し,境界鮮明となり改善傾向がみられた.視力は右眼0.9,左眼0.7である. 考察 ノカルジア症は角膜感染症等の術後感染の報告は散見されるが,転移性眼内炎の報告は比較的稀である.免疫抑制状態の患者に網膜下膿瘍を見たときはノカルジアによる感染も念頭に置いておく必要がある. |