コンドウ タカユキ
KONDOU TAKAYUKI 近藤 誉之 所属 関西医科大学 神経内科学講座 職種 診療教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | PMDAに報告された多発性硬化症疾患修飾薬の死亡例、感染 症関連例・発癌例 |
会議名 | 第60回日本神経学会学術大会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | ポスター掲示 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎近藤誉之, 中田郷子 |
発表年月日 | 2019/05/23 |
開催地 (都市, 国名) |
大阪 |
概要 | 【目的】 多発性硬化症疾患修飾薬(MS-DMD)の使用に伴って臨床の場で起こっている有害事象につ いての知見を得るために、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対する自発報告を解析し た。第30回神経免疫学会学術集会で報告した続報である。【方法】 PMDA のホームページ (www.info.pmda.go.jp/fsearchnew/jsp/menu_fukusayou_base.jsp) にアクセスして、2018年9月時点でのMS- DMDの有害事象自発報告例を、日本人疾患罹患率を参考に解析した。【結果】PMDAへの死亡報告例は フィンゴリモド(FTY)22例(観察期間82月)、インターフェロン(IFN)β-1b8例(224月)、IFNβ-1a5 例(142月)、ナタリズマブ(NTZ)4例(51月)、グラチラマー酢酸塩(GA)1例(34月)であった。フ マル酸ジメチル(DMF)は観察期間(19月)内に死亡例の報告はない。突然死あるいは心関連死報告 数はFTY4例、IFNβ-1a1例であった。感染症関連死に関しては、FTYでは単純ヘルペス感染を背景とし た血球貪食症候群、神経クリプロコッカス症が各1例、NTZ使用者では日本脳炎が1例報告された。自殺 既遂者報告数はFTY4例、NTZ2例、IFNβ-1b 1例であった。重篤なクリプトコッカス感染症はFTYでのみ 5例、PMLはFTY4例、NTZ2例の報告がある。悪性リンパ腫はFTY7例、NTZ、DMF各1例の報告がある。子 宮頸癌はFTY7例、DMF1例、胃ガンはFTY4例、IFNβ-1b1例の報告があり、FTYにおいて、日本人全体の罹 患率より高かった。一方、20-50代の女性で最も多い乳癌はFTYで5例、IFNβ製剤で計5例であり、日本人 全体の罹患率と明らかな相違はなかった。【結論】薬剤への先入観、使用対象患者の相違、社会的状況の 変化などのバイアスが報告の有無に影響する。この結果を各薬剤の比較に用いるべきではない。本研究 で示唆されたFTYにおける子宮頸がん、胃がん、悪性リンパ腫などのリスクの可能性に関しては、統計処 理のできるデータによる、より客観的な解析が必要である。 |