イトウ タカシ   ITOU TAKASHI
  伊藤 嵩志
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 1型自己免疫性膵炎における内視鏡診断の位置づけ
会議名 第107回 日本消化器内視鏡学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎伊藤嵩志, 池浦司, 長沼誠
発表年月日 2024/05/30
国名 日本
開催地
(都市, 国名)
東京 グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
開催期間 2024/05/30~2024/06/01
学会抄録 ウェブ
概要 【背景】1型自己免疫性膵炎(AIP)は免疫が関与する未だ原因不明の難治性疾患である。時に膵腫瘤を形成するため、限局型膵腫大症例では診断に苦慮することが少なくない。1型AIPの診断には内視鏡検査は欠かせないツールであるものの、決まった診断方法は存在しない。【対象】2006年1月から2023年10月までに当院で自己免疫性膵炎診断基準2018に従い診断した疑診~確診症例173例のうち、内視鏡検査を行った症例を対象とした。【目的】1)1型自己免疫性膵炎に対するEUS-TA、2)ERPとMRPの膵管狭細像の評価を検討することを目的とした。【結果】1)EUS-TAは124例で施行しており、FNA群(n=78)/FNB群(n=46)で比較した。高度のリンパ球浸潤は8例(10%)/36例(78%)、強視野10個以上のIgG4陽性形質細胞浸潤は1例(1%)/20例(44%)、花筵状線維化は0例(0%)/4例(9%)、閉塞性静脈炎は0例(0%)/1例(2%)であった。FNA群/FNB群として診断基準の病理所見としてⅣaは0例/5例、Ⅳbは0例/16例、Ⅳcは78例/24例であり、FNB群でより精度が高かった。Ⅳbを満たした16例(全例でIgG4高値)では7例でびまん性膵腫大、9例で限局性膵腫大を認めた。限局性膵腫大9例中6例で確診、3例でMRPによる狭細像を認め準確診であった。2)ERPは101例で施行され、89例(88%)で主膵管狭細像を指摘できた。そのうち体尾部に限定した狭細像は8例(9%)と頭部の狭細像が主に指摘されていた。ERPと同時期にMRPを施行した72例において、ERPで狭細像を指摘しえたのは64例であり、そのうちMRPで56例(88%)(頭部49例(88%)/56例、体尾部27例(87%)/31例)が狭細像を指摘できた。一方、MRPで主膵管狭細像を指摘できなかった8例(びまん性腫大4例、限局性腫大4例)のうち7例でERPによって主膵管狭細像を指摘できた。【結論】1型AIPにおいて、EUS-TAによる診断が向上してきており、さらにMRPが診断基準に組み込まれたことで診断的ERPの位置づけは下がっているが、1割程度の症例ではERPが有用であると考えられた。