タハラ トモミツ   TAHARA TOMOMITSU
  田原 智満
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 食道癌診断における食道洗浄液内細菌叢解析の有用性
会議名 第107回 日本消化器内視鏡学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎四十万谷卓也, 田原智満, 長沼誠
発表年月日 2024/05/30
国名 日本
開催地
(都市, 国名)
東京 グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
開催期間 2024/05/30~2024/06/01
学会抄録 ウェブ
概要 目的:シークエンス技術の進歩により生体試料内の常在細菌叢の組成・割合の変化と疾患との関連に注目が集まっている。消化管洗浄液由来のバイオマーカーは非侵襲的かつ簡便であり、臨床的有用性が期待できる。今回、内視鏡検査時に回収した食道洗浄液中DNAをターゲットに細菌叢解析を行い、食道癌診断における可能性を検討した。方法:対象は食道癌45例、健常コントロール20例。内視鏡検査時の食道洗浄液約50mlを速やかに回収し、ゲノムDNAを抽出、16SrRNA遺伝子のV3-V4領域をアンプリコンシーケンスにより解析した。結果:食道洗浄液由来DNAの濃度は癌患者、健常それぞれ203+/-26ng/ul、161+/-30ng/ulと十分量であり、健常コントロール洗浄液に対し、癌患者において属レベルで有意に増加、または減少している菌がそれぞれ3種類認められた。なかでも、Prevotella属の減少割合は、感度80%、特異度85%と食道癌患者と健常者を区別するうえで良好な成績であった。 Prevotella属の減少は、単変量解析において、癌患者以外に喫煙との関連を認めたが(P=0.04)、多変量解析では癌患者のみがPrevotellaの減少割合に関わる独立因子であった(P=0.0005)。また、洗浄液中のPrevotella属の割合は健常部食道から採取した粘膜内における菌の割合と相関しており(P=0.01)、洗浄液中の菌の割合が粘膜内の常在細菌の割合を反映していると考えられた。結語:食道洗浄液中のDNAをターゲットにした細菌叢解析は食道癌の診断に有用である。