コバヤシ サンシロウ   KOBAYASHI SANSHIRO
  小林 三四郎
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 非乳頭部十二指腸腫瘍に対する治療法選択の妥当性の検討
会議名 第107回 日本消化器内視鏡学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎小林三四郎, 高橋悠, 長沼誠
発表年月日 2024/06/01
国名 日本
開催地
(都市, 国名)
東京 グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
開催期間 2024/05/30~2024/06/01
学会抄録 ウェブ
概要 【背景】非乳頭部十二指腸腫瘍の治療法は一定の方向性はあるものの施設によってばらつきがある。当院では20mm以下の腫瘍には浸水下内視鏡的粘膜切除術(UEMR)、20mm以上では十二指腸腹腔鏡内視鏡合同手術(DLECS)を選択していることが多い。
【目的と方法】2019年4月から2023年10月までに当院で内視鏡治療を行った十二指腸腫瘍125例の腫瘍径とその治療成績より選択した治療法が妥当であるかを後方視的に検討した。
【結果】年齢中央値は71歳(31-86)、男/女:86/39人。球部17/SDA12/下行部75/IDA13/水平部6/輸出脚2例。肉眼型は0-Ⅰ/0-Ⅱa/0-Ⅱb/0-Ⅱc/SMTが22/80/2/18/3例、腫瘍径中央値は9mm(1-90)。治療法はDLECS:21例、UEMR:104例。
治療別の腫瘍径中央値はDLECS/UEMR:30/7mm。術後病理診断は、DLECS群でそれぞれAdenocarcinoma/Adenoma/Neuroendocrine tumor/Brunner gland hyperplasia :12/6/2/1例で、UEMR群は、18/77/0/10例であった。
Adenocarcinoma/Adenomaの腫瘍径のROC曲線を用いたカットオフ値は、23mm(感度0.379/特異度0.958)であった。(20㎜:感度0.4/特異度0.908)一括切除率はDLECS/UEMR:95/93%。R0切除率はDLECS/UEMR: 95/68.5%。水平断端はDLECS群では1例を除いて全てHM0で、UEMR群ではHM0/HMX/HM1:68.5/25.7/8.5%であった。
UEMR群の腫瘍径別の断端X率は1-5/6-10/11-15/16-20/21mm以上:18.9/40.5/31.8/33/100%であった。DLECS/UEMRともに全ての症例でVMOであった。追跡できた全ての症例で1年後の再発は認められなかった。
術中偶発症率DLECS/UEMR:4.7%/0%(DLECS:1例穿孔にて全層切除へ移行),術後偶発症率DLECS/UEMR:9.5/1.9%(DLECS:2例通過障害、UEMR:2例後出血)であった。
【結論】
DLECS群では一括切除率・RO切除率が高いが、UEMR群では腫瘍径にかかわらず水平断端マージンの確保が容易ではない事が示唆された。Adenocarcinoma/Adenomaの腫瘍径のROC曲線を用いたカットオフ値は23㎜であり、手技の難易度や偶発症を加味し、20㎜以下ではUEMR、21㎜以上ではDLECSは許容できる結果となった。