シモダ シンジ   SHIMODA SHINJI
  下田 慎治
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   診療教授
言語種別 日本語
発表タイトル 751病床の大学病院における免疫チェックポイント阻害薬投与後の肝障害について
会議名 JDDW2024 (肝臓学会・消化器病学会)
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎下田慎治, 山敷宣代, 長沼誠
発表年月日 2024/10/31
開催地
(都市, 国名)
神戸 神戸国際会議場
開催期間 2024/10/31~2024/11/04
概要 【目的】免疫チェックポイント阻害薬(ICI)について肝臓領域における合併症とその対策について実態を調査し問題点を明らかにする.【方法】2023年1月1日から12月31日までの1年間でICIを投与された症例873件について後方視的に診療記録から医療情報を得た.【成績】Grade2以上の肝胆道系酵素異常を325例(ICI投与の37.2%)に認めた.肝胆道系の手術や体質性黄疸に伴う異常を除くと237例であった.Grade3以上の肝障害は91例であった.60例にステロイドが使用されGrade3以上での使用は26例であった.ステロイド未使用症例の多くは自然改善を認め,RECAM-J 2023に準拠して35症例をpossible以上のDILIと判断したがICI以外にも被疑薬候補があった.ステロイド使用症例では,肝胆道系酵素異常以外に多臓器に渡り免疫介在性有害事象を認めた(重複症例を含め,肺: 15例,腸: 15例,副腎: 5例,下垂体: 4例,甲状腺: 3例,皮膚: 3例,膵臓: 2例,横紋筋: 2例,腎臓: 1例,関節: 1例,赤血球: 1例,心筋: 1例).ICIによる肝炎でのステロイド使用は12例(ICI全投与症例の1.4%)であった.肝障害型別としてR>5のhepatocellular型は5例, 2<R<5のmixed型は3例, R<2のcholestatic 型は4例であった.肝生検施行は3例で,未施行9例の理由は劇症肝炎による高出血リスク1例,透析を必要とする急性腎不全1例,肝癌で施行困難が2例で,残りの5例はステロイド治療を先行させて治療反応性を評価していた.肝癌でのICIによる肝炎2例中1例ではconversion手術が可能であった.肝生検を施行した3例とステロイド治療を先行させた5例の比較では,生検施行例で紹介時のAST,LDH値が有意に高値(p<0.05)だった.紹介を受けた時期に有意差はなかった.MMF投与は2例で紹介前投与も1例存在した.【結論】ICI投与症例には院内紹介と治療の基準を設定し早期に対応することが診療標準化と治療成績向上に必要と考えられた.