ナガイ ヨシミ   NAGAI YOSHIMI
  永井 由巳
   所属   関西医科大学  眼科学講座
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル ランチョンセミナー 滲出型加齢黄斑変性
会議名 第80回九州眼科学会
発表者・共同発表者◎永井由巳
発表年月日 2010/05
開催地
(都市, 国名)
佐賀
概要 滲出型加齢黄斑変性(AMD)は、欧米では失明原因の第1位、本邦でも第4位と急増中の疾患である。近年、このAMDの診断に関する検査機器の進歩は目ざましいものがあり、その中でも光干渉断層計(OCT)は次々と高解像度のモデルが開発されている。1997年に国内に導入された時は20μmであった解像度が、最近のスペクトラルドメインOCT(SDOCT)では3~5μmの分解能となり、視細胞外節内節接合部(IS/OS line)や網膜色素上皮、Bruch膜も明瞭に観察できるようになった。その結果AMDにおける網膜色素上皮下に広がるⅠ型の脈絡膜新生血管(CNV)や感覚網膜下に広がるⅡ型CNV、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)におけるポリープ状病巣や異常血管網、網膜血管腫状増殖(RAP)における網膜内新生血管などの病態や、治療後の経過も詳細に観察できるようになった。
 また、AMDにおける治療もこの数年で大きく進歩してきた。平成16年5月には本邦でも光線力学的療法(PDT)が承認され国内200余の施設で行われ安定した成績をみるようになったが、最近では抗血管内皮増殖因子療法(抗VEGF療法)が登場し、国内でもルセンティス他製剤が承認され治療の主流となりつつある。これらの薬剤が承認されて1年を過ぎ、AMDの中でも投与後の効果にも差異がみられることも分かってきた。当科でのこれまでの成績からⅡ型CNVのような感覚網膜下の病変であれば抗VEGF剤単独、Ⅰ型CNVやPCVなどの網膜色素上皮下病変にはPDT単独、こられのmixed typeや再燃例、治療抵抗例にはPDTと抗VEGF剤との併用療法を行うことが多く、様々な治療に抵抗を示すRAPに対してはPDT、抗VEGF剤、ステロイド剤(triamcinolone)の3剤併用療法を基本として行うようにしている。
 今回のセミナーでは、AMDをSDOCTで撮影してみられる特徴的な所見と、AMDのタイプ別に応じた最近の治療成績とを、実際の症例を呈示しながら述べる。