セキ トシヒト   SEKI TOSHIHITO
  關 壽人
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   嘱託
言語種別 日本語
発表タイトル 肝静脈3主幹閉塞に対してPTA、血管内ステント留置を行い長期生存が得られているBudd-Chiari症候群の一例
会議名 第39回日本肝臓学会西部会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎井口亮輔, 関 寿人, 岡崎和一
発表年月日 2011/12
開催地
(都市, 国名)
岡山
学会抄録 肝臓 52(suppl3),A793 2011
概要 <症例>40歳代。女性。主訴:腹部膨満感、右季肋部痛。既往歴:慢性甲状腺炎。家族歴:父、大腸癌。飲酒歴:機会飲酒。喫煙歴:60本/日×20年間。現病歴:健診でγ-GTPの単独上昇を指摘されていたが、自覚症状もなく放置していた。2006年7月頃より腹部膨満感が出現し、8月上旬には右季肋部痛が持続するようになったため近医を受診。血液検査上、胆道系酵素の上昇と貧血を認め、腹部CTおよび上部消化管内視鏡検査を施行したところ、著名な肝腫大、腹水貯留、食道静脈瘤を認め、精査加療目的にて当科入院となる。<経過>腹部USでは肝静脈(右、中、左)と下大静脈との交通を認めず、肝静脈(中-左肝静脈)の吻合を認めた。造影CTでは下大静脈は造影されるも肝静脈は造影されなかったことからBudd-Chiari症候群を疑い、2006年9月血管造影検査施行。下大静脈造影では肝部下大静脈の軽度狭窄のみで、閉塞は認められなかった。経皮的肝静脈(中肝静脈)造影では、下大静脈は造影されず、肝静脈(中-左肝静脈)の吻合が認められた。以上から肝静脈3主幹閉塞によるBudd-Chiari症候群と診断し、2006年10月Percutaneous Transluminal Angioplasty (PTA)と血管内ステント留置術を施行。術後には塩酸チクロビジンの内服を開始したが、2007年3月に食道静脈瘤破裂にて緊急入院。肝静脈造影にてステント内部に血流は認められず再閉塞と判断し、再度血管内ステント留置術を施行。以後はステントの再閉塞は認めておらず、2008年5月の上部消化管内視鏡検査では食道静脈瘤はほぼ消失し、治療後4年経過した現在でも門脈圧亢進症による症状は認めていない。
<考察>Budd-Chiari症候群に対する治療として、近年のIVR技術の進展に伴い、侵襲の少ない経皮的バルーン拡張・PTAが選択されることが多くなっている。しかし、PTAだけでは再閉塞のリスクが高いこともあり、その後再閉塞の予防を目的としたステント留置が行われてきた。ただ、PTAに加えステント留置術を施行しても、今回の症例のように、留置後6ヶ月以内に再閉塞を来す症例もあることから十分な経過観察が必要と考えられる。