タハラ トモミツ   TAHARA TOMOMITSU
  田原 智満
   所属   関西医科大学  内科学第三講座
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 表在型非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)に対する治療法についての検討
会議名 第109回日本消化器病学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎松本泰司, 高橋悠, 大津拓也, 四十万谷卓也, 西紋周平, 小林三四郎, 中村尚広, 田原智満, 長沼誠
発表年月日 2023/04/07
国名 日本
開催地
(都市, 国名)
長崎県長崎市(出島メッセ長崎)
開催期間 2023/04/06~2023/04/08
学会抄録 第109回 日本消化器病学会総会 プログラム・抄録集 A392
概要 【背景】表在型非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)は比較的稀な疾患である.ガイドラインで一定の方向性が示されたものの施設によって治療方法は様々であり,施設ごとにPolypectomyやEMR,ESD,LECSなどの治療法の検討がなされている.当院では内視鏡的に20mm以下の腫瘍には浸水下内視鏡的粘膜切除術(UEMR),20mm以上では十二指腸腹腔鏡内視鏡合同手術(D-LECS)を選択していることが多い.
【目的と方法】2019年4月から2022年9月までに当院で内視鏡治療を行ったSNADET65例の腫瘍径とその治療成績より選択した治療法が妥当であるかを後方視的に検討した.
【結果】年齢中央値は69歳(31-86),男女比は42:23であった.肉眼型は0-I/0-IIa/0-IIb/0-IIcが10(15.4%)/45(69.2%)/2(3.1%)/8(12.3%),腫瘍径は10mm(1-90)であった.選択した治療法は,全65例中D-LECSが10例,UEMRが55例であった.治療別の腫瘍径はD-LECS/UEMR:33.5mm(4-90)/7mm(1-44)(p<0.001).術後病理診断は,D-LECS群でAdenocarcinoma/adenoma:9例(90%)/1例(10%)であり,UEMR群では,15例(27.3%)/40例(72.7%)であった.腫瘍径でみると,21mm以上で有意にadenocarcinomaの割合が増加していた.治療成績で見ると,一括切除率は,D-LECS/UEMR:90%/87.3%.水平断端は,DLECS群では分割例1例を除いて全てHM0であったが,UEMR群ではHM0/HMX/HM1:56.4/38.2/5.5%(31/21/3例)であった.D-LECS群とUEMR群ともに全ての症例でVMOであった.R0切除率はD-LECS群で90%(9/10例)(1例は分割切除),UEMR群で56.4%(31/55例)であった.20mm以下と21mm以上のUEMR群の断端Xの検討では20mm以下/21mm以上:35.8%/100%であった.しかし,追跡できた全ての症例で1年後の再発は認められなかった.
【結論】20mm以上の腫瘍でadenocarcinomaの割合が増加していた.UEMRでは腫瘍径にかかわらず確実な水平断端マージンの確保が容易ではない.腫瘍径を基準に考慮すると,20mm以下の腫瘍ではUEMR,21mm以上の腫瘍でR0切除を目指すためにD-LECSが妥当かと考えられた.